アトリビューション分析とは、コンバージョンの直前にクリックされた広告だけでなく、その手前にユーザーが接触した広告の間接的な効果も含めて、広告のコンバージョンへの貢献度を分析する手法です。
アトリビューション分析は広告運用の精度を高めるために必要な手法となりますので、以下のような失敗を犯すリスクを減らすことができます。
「アトリビューション分析とは何なのか知りたい」
「自社の広告運用に役立てたい」
…という方におすすめの内容となっています。
この解説を最後までお読みいただければ、「アトリビューション分析とは何なのか?」はもちろん、自社で取り入れて成功させるためのポイントを押さえられます。
結果として、成果に直結する広告運用が可能になるはずです。ではさっそく解説を始めましょう。
- 成果(コンバージョンや売上)を生み出している広告をやめてしまう
- 無駄な広告の予算を増やしてしまう
本記事のポイント
- アトリビューション分析の基本がわかる
- なぜアトリビューション分析を行うべきなのか意義を理解できる
- 具体的なやり方や成功のコツまで解説
1. アトリビューション分析とは

1-1. アトリビューション分析=広告の貢献度を分析する手法
アトリビューション分析とは、簡単にいえば「コンバージョンに対する広告の貢献度を分析する手法」です。 もともとのアトリビューション分析は、金融分野で投資元本に対する損益要因の分析に使われてきた手法ですが、近年では「インターネット広告」の分野でも活用されています。 そもそも「アトリビューション(attribution)」とは“帰属”という意味で、アトリビューション分析とはある事象がどのような要因から生じたのか分析することです。 インターネット広告でのアトリビューション分析は、ユーザーがコンバージョンに至るプロセスに、どの広告が寄与しているのか、コンバージョンに対する広告の貢献度を明らかにすることを指します。 言い換えれば「貢献度分析」がアトリビューション分析です。1-2. 成果(コンバージョンや売上)に貢献しているのは最後のクリックだけではない
前述のとおり元は金融分野の分析手法だったアトリビューション分析が、現在ではインターネット広告に適用されている背景として押さえておきたいのは、 「成果に貢献した広告接触はちゃんと評価しましょう」 …という考え方です。 直後にコンバージョンへつながった最後のクリック(ラストクリック)の前に、ユーザーは他の広告もクリックしています。複数の広告のアシストがあったうえで、最後のクリックでコンバージョンに至っているケースがあるのです。
わかりやすい例はリスティング広告
具体的にイメージする例としてわかりやすいのは「リスティング広告」です。 というのも、早い時期からアトリビューション分析の有効性が確認されていたのがリスティング広告です。 あなた自身、何らかの商品を購入する際、さまざまなキーワードで繰り返し検索して情報収集し、集めた情報を総合して検討した結果、最終的な購買に至った経験があるでしょう。
2. アトリビューション分析をしないと起こる2つの失敗

- 成果(コンバージョンや売上)を生み出している広告をやめてしまう
- 無駄な広告の予算を増やしてしまう
2-1. 成果(コンバージョンや売上)生み出している広告をやめてしまう
1つめの失敗は「成果(コンバージョンや売上)を生み出している広告をやめてしまう」です。 アトリビューション分析をしないと、コンバージョンの直前の“最後のクリック”を発生させた広告以外の評価ができません。 実は、“成果を生み出しているのは最後のクリックの広告だけではなく、その前段階のアシストクリックも貢献している”という状況は、発生しています。 アトリビューション分析をせずにインターネット広告を運用すると、最後にクリックされた広告のみが売上に対して100%の貢献をしていると勘違いして、それ以外の広告を誤って中止してしまうリスクがあります。2-2. 無駄な広告の予算を増やしてしまう
2つめの失敗は「無駄な広告の予算を増やしてしまう」です。 コンバージョンにどの広告が本当に“効いて”いるのかを把握できていないと、ラストクリックの広告を過大評価して、ラストクリックの広告予算だけがアンバランスに増えていきます。 同時に、効果が不明瞭な広告を漠然と継続しがちな点にも注意が必要です。 あなたの会社でも、こんな広告はありませんか。- 「コンバージョンにどれだけ貢献しているのが不明瞭だが、認知度アップのために広告出稿を継続している」
- 「数字では効果が計測できていないが、ブランディングのためにリピート出稿している」
3. アトリビューション分析を行うメリット

3-1. アトリビューション分析は広告運用の精度を高めるために必要
アトリビューション分析は、精度の高い広告運用を実現するために、非常に有益な分析手法です。 従来の広告運用では、ほとんどが「コンバージョン直前の最後のクリック(ラストクリック)」に基づいて広告効果を測定していました。 その方法では、成果を生み出している広告がきちんと評価されず、逆に貢献度の低い広告が発見できないという問題があることは、先に述べたとおりです。 そこでアトリビューション分析を行うと、ユーザーがコンバージョンに至るまでに接触した各広告の貢献度を、明確に把握できます。 広告のコンバージョンへの貢献度を把握できれば、あとは貢献度に応じて広告予算の配分を変更するだけです。3-2. アトリビューション分析で解決できる課題
アトリビューション分析を行うと、以下の課題を解決できます。- 広告の費用対効果を高めたい
- 広告費の予算額はそのままに、コンバージョン数を増やしたい
- 効果測定があいまいになっている広告の成果を数値化したい
- どの広告媒体を拡大していくか根拠を持って判断したい
4. アトリビューション分析のやり方

※日本マーケティングリサーチ機構調べ 調査概要:2021年6月期_指定領域における競合調査
4-1. ステップ1:アトリビューション指標の評価モデルを設定する
1つめのステップは「アトリビューション指標の評価モデルを設定する」です。 まず前提として、アドエビスでは機能として独自の2つのアトリビューション指標を持っており、これらの測定が可能です。▼ アドエビス独自のアトリビューション指標
再配分コンバージョン | 間接効果も考慮した貢献度 |
---|---|
Total CPA | 間接効果も考慮した費用対効果 計算式:広告コスト ÷ 再配分コンバージョン |


4-2. ステップ2:広告配信抑制を行う広告を見つける
2つめのステップは「広告配信抑制を行う広告を見つける」です。 広告配信抑制を行うべき広告とは、アトリビューション分析を行った結果、直接的にも間接的にもコンバージョンに貢献していないことがわかった広告です。 アドエビスの管理画面では、広告ごとに再配分コンバージョンを表示させ、さらにソートをかけることができます。
4-3. ステップ3:広告配信強化を行う広告を見つける
3つめのステップは「広告配信強化を行う広告を見つける」です。 アトリビューション分析を行うと、再配分コンバージョンを使って「広告の役割」を確認できます。 広告の役割には、コンバージョン獲得に優れた広告(獲得広告)、認知や初回のアプローチに優れた広告(認知広告)があります。



5. アトリビューション分析をさらなる成果につなげるコツ

- 大まかな傾向をつかんで素早くPDCAを回す
- コンバージョンしたユーザーの行動履歴まで追う
5-1. 大まかな傾向をつかんで素早くPDCAを回す
1つめのポイントは「大まかな傾向をつかんで素早くPDCAを回す」ことです。 アトリビューション分析では、非常に細かな部分まで分析できるため、時間をかけて突き詰めようとすれば、切りがないほどです。 ですが、「Webマーケティングの現場で、具体的な成果を早く出す」という意味では、細かな部分にまでとらわれるよりも、アトリビューション分析をもとに、どんどん大まかな傾向をつかんで、素早くPDCAを回している企業が成功しています。5-2. コンバージョンしたユーザーの行動履歴まで追う
2つめのポイントは「コンバージョンしたユーザーの行動履歴まで追う」ことです。 これからアトリビューション分析を活用して広告運用を最適化すれば、必ず広告の費用対効果が良くなっていくはずです。 その次のステップとしてぜひ取り組んでほしいのが、コンバージョンしたユーザーの、その先の行動まで追っていくことです。 広告による「貢献」をコンバージョンのみならず、その先の利益(LTV、顧客生涯価値)まで含めて測定することで、業績向上に直結する広告運用が可能になります。6. まとめ
アトリビューション分析とは、ラストクリックの広告以外の間接効果も含めて、広告の貢献度を分析する手法です。 アトリビューション分析をしないと、以下の失敗が起きやすくなります。- 成果(コンバージョンや売上)を生み出している広告をやめてしまう
- 無駄な広告の予算を増やしてしまう
- ステップ1:アトリビューション指標の評価モデルを設定する
- ステップ2:広告配信抑制を行う広告を見つける
- ステップ3:広告配信強化を行う広告を見つける
- 大まかな傾向をつかんで素早くPDCAを回す
- コンバージョンしたユーザーの行動履歴まで追う