株式会社イルグルム

流入データの共通言語化がカギ――アドエビスが考える、マーケティング運用の「あるべき姿」とは?

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デジタルマーケティングが複雑化する中、DXに関する課題や関係者間の目線のずれ、広告投資判断の意思決定の曖昧さなどで悩みを抱える企業も少なくない。目先の数値ではなく事業目標につながる成果を出せる環境構築のために、何が必要なのだろうか? 本記事では、イルグルムで広告効果測定ツール「アドエビス」のグロースを担う金田氏に、マーケティング組織・運用環境の「あるべき姿」とその実現に必要なポイントを伺った。

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自社で正確なデータを保有することが急務

今回は「アドエビス」のマーケティング部 部長でいらっしゃる金田様に伺っていきます。まず自己紹介をお願いできますか。

金田:

私は20年間ほど広告代理業務に携わり、その後は事業会社に在籍していました。キャリアを通して、オンライン・オフライン問わずあらゆるマーケティング施策を通じた顧客接点の最適化や、豊富な顧客データを活用したCRM戦略の構築に携わってきました。

そして2022年より現職のイルグルムに入社し、アドエビスのさらなるグロースを目指して、セールス部門と連携したマーケティング活動全般の指揮を執っています。

イルグルム 運営本部 マーケティング部 部長 金田 耕一

昨今は企業を取り巻くデジタルマーケティングの環境も大きく変化しています。この現状について、どのような見解をお持ちですか?

金田:

大きく3つの変化があると考えています。1つ目として、コロナ禍に端を発したデジタル技術の進化や生活者ニーズの変化は大きなポイントだと考えています。2つ目として挙げられるのが、それ以前からあったプライバシーやセキュリティの考え方の変化です。

これら2つの変化により日夜、新たなマーケティング手法が生まれており、ユーザーのデジタル行動も多様化しています。その一方で法規制や技術規制により、データ計測の難度は増すばかりです。これらの課題に対応するためには、自社で複雑かつ正確なデータを保有することが求められます。

DXで実現するマーケティングの本質は、パーソナライズにあり

3つ目は、どのような変化なのでしょうか。

金田:

もっと大きな流れで、「DXの推進」がありますね。2018年に経済産業省から公開された「DXレポート」では、“2025年の崖”という課題が示されています。内容は、複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合、2025年までに予想される経済損失はレポート公開時の約3倍となる最大12兆円/年にのぼる可能性を指摘したものです。

レポート内で挙げられている「既存システムのレガシー化」「戦略における達成すべき目的の不透明」など、DXにおける課題も増えており、全社DXと足並みをそろえたデジタルマーケティングの環境構築が求められるように思います。

その一方でDXを重視するあまりそれ自体が目的となり、本質的な目的を見失っている企業も少なくありません。

手段の目的化が起こってしまっているのですね。

金田:

はい。DXの本来の目的は既存のシステムをデジタル化し、業務の効率化や事業成長を目指すものですからね。

DXによって実現できるデジタルマーケティングの本質は、パーソナライズにあります。個別最適を行うためには、そういった機能の実装が必要です。さらに大きな観点では施策ベースでの最適化が必要ですし、もっと言えば事業の戦略上の全体最適化が必要となってくるでしょう。

2種類の最適化が必要になってくるのですね。

金田:

その通りです。この全体最適と個別最適の運用の歯車を両輪で回せる環境を整える必要があり、ユーザーのID単位での流入から売り上げといった事業目標までを一気通貫で管理することが、近年のマーケターには求められるように感じます。

2つの課題「流入施策の最適化」と「組織の最適化」

クライアントから寄せられる相談として増えているものを教えてください。

金田:

「成果が伸び悩んでいる」「どの施策にどのくらいの効果があったかわからない」といったマーケティング上流のご相談をいただくケースが増えています。

近年はデジタルマーケティングに力を入れる企業が増え、競争は激化しています。さらにSNSやコンテンツマーケティングをはじめ、ペイドメディアとその他メディアを組み合わせる形でのマーケティング活動が主流となりました。その結果、マーケティングプロセス全体が複雑化してきています。またマーケティング組織に目を向けると、DXツールを使いこなせる人材の枯渇により、顧客のマーケティングシステムが正しく機能していないといった課題が挙げられます。

各施策の正確な効果測定が難しいだけでなく、様々な要因が絡んでいるのですね。クライアントの声を、もう少し詳細にお話しいただけますか?

金田:

“広告の最適化”と“組織の最適化”の2つにおける支援が求められていると感じますね。特に“広告の最適化”では、2022年4月に施行された改正個人情報保護法の施行によるところが大きいです。

“組織の最適化”における大きな課題としては、情報の非対称性が挙げられます。マーケティング業務は属人化しやすいと言われていますが、優秀な人が様々な施策を進めても、その人自身にノウハウが蓄積されるだけで組織間や社内での共有に至らないケースも往々にしてあります。

マーケティングのノウハウを社内全体へ共有するためには、レポートや成果指標などのアウトプットが有効です。ですが「アウトプットされたものが集約されておらず点在してしまっている」などのお悩みを聞きますね。

また、事業会社と広告代理店それぞれの指標が異なっていて、「目線がそろわないまま意思決定を下してしまう」といったケースもあります。たとえば事業会社が把握しているコンバージョン数と広告代理店が把握しているコンバージョン数の乖離や、広告代理店がCPAを主眼に置いて運用するのに対し、事業会社は最終売り上げを起点に施策改善をしたいという視座のズレがあったりします。

このような課題はこれまでも存在していましたが、マーケティングの複雑化にともないさらに増加しています。そしてこういった環境でのマーケティング活動は適切な投資判断の実行を阻害してしまい、結果的に事業会社から寄せられる相談にある「成果の伸び悩み」に直結するのです。

マーケティングに携わる全員が真の共通言語を持ち、意思決定できているか

成果を残されている企業のポイントを教えてください。

金田:

事業目標(KGI)に対して適切なKPIを定め、組織全員でPDCAを回せる環境を整えている点です。

たとえばBtoBビジネスのSaaSサービスにおいて、KGIは「成約数」と「顧客の利用継続期間」ですが、目先の資料請求数やCPA効率だけを追い求めてしまうと、KGIの達成に不具合が出てしまいます。ですから最終目的と手段の関係性を見つめ、取り組みを行っていくことが重要です。

弊社ではこの状態こそが流入施策全体、そしてマーケティングの効果測定における「あるべき姿」だと考えます。それには前提として、なりたい姿やゴールを思い描けていることが欠かせません。加えてマーケティングに携わる関係者全員がきちんと同じ指標を見て、共通の認識を持って意思決定ができるか。つまり、「共通言語」の存在がカギになると考えています。

最終的なゴールは事業成長や事業計画目標になると思いますので、それに基づいた手段を取り、スピーディーにPDCAを回していける環境をどう構築するか。具体的な施策ベースの個別最適から全体最適、全社最適まですべての歯車がかみ合っていく状況を作る必要があり、共通言語の存在は重要になると思います。

最終成果に基づく施策分析により、データを立体的に捉え顧客体験を可視化

共通言語はどのように作っていけばいいのでしょうか。

金田:

共通言語とすべきものは「データ」になってくるわけですが、まずは顧客との接点の起点となる流入施策のデータを一元管理することから始まると考えています。企業の流入施策はWeb広告をはじめとするペイドメディアだけで完結しているわけではなく、オウンドメディアやインフルエンサーマーケティングなど様々な施策が展開されています。施策ごとにターゲットや訴求軸なども定義されるため、それらが複雑に影響し合ってユーザーが流入してきます。

ここで大切なのは施策ごとにデータを“点”で追うのではなく、“線”で見ることです。線と線を組み合わせ立体的に見ることで各施策の関係性を把握し、正しいユーザーの導線が可視化できるようになるのです。

最後に、流入施策の成果と最終成果(売り上げ・利益など)を突合してみましょう。このステップを踏み、流入データを一元管理することで、ROIをもとに本質をとらえた投資判断を下せるようになります。こうすることでマーケティング組織のみならず、営業、サクセスなどの部署の横断や経営層などのステークホルダーへの縦断に対しても、成果報告は明確でわかりやすいものになるでしょう。

流入データを一元管理するイメージ
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データの共通言語化とマーケティング運用の「あるべき姿」実現のヒント

データの共通言語化とマーケティング運用の「あるべき姿」実現のヒントについても伺えますか。

金田:

あくまでソリューションの一つではありますが、弊社の提供する広告効果測定ツール「アドエビス」は、マーケティング運用の「あるべき姿」の構築を支援するツールです。

たとえばマーケティング担当者で、先ほども申し上げたように媒体コンバージョンデータと基幹データに大きな乖離が生じていると感じた経験のある方はいらっしゃると思います。当たり前のようですが、乖離が大きいと誤った判断となる可能性が高くなります。昨今のCookie規制にも対応した計測方式を搭載しているアドエビスでは、乖離の少ない正確な効果測定が可能になります。

広告はもちろん、自然検索やオウンドメディアといった効果が把握しづらい認知メディアの成果もスピーディーに一元管理できるようになっています。アドエビスの管理画面上で同一指標として計測・管理できることで、データの共通言語化が始まるのです。

運用面では、直近のバージョンアップで新たに追加された「広告自動登録機能」を活用いただければ、各広告媒体の効果測定時に必要な計測パラメータの発行・入稿から広告媒体の計測データ取得までの工程を自動化することもできます。これにより広告運用者の負担を軽減するとともに運用スピードの向上を実現できます。

金田:

さらに2023年1月には、「アドエビスAPI」もリニューアルいたしました。これによってCRMツールなどの既存システムと、アドエビスの流入データをシームレスかつスピーディーに連携することが可能です。

APIでID連携することにより、購買顧客の属性情報を活用した効果的な流入施策の実現や、コンバージョン前におけるデジタル上の接触情報をコンバージョン顧客ごとにセールス側に連携でき、パーソナライズされた効果的なアプローチに活かせます。

弊社では、カスタマーサクセスについても充実させており、上記のようなマーケティング運用の「あるべき姿」の実現に向けて、導入後は専任の担当が目的の達成までを伴走・支援し定着するまでサポートを行っていきます。これからも企業のデジタルマーケティングにおける課題解消や皆様のマーケティング運用の「あるべき姿」実現に向け、サポートしていきたいと考えています。

※ 本記事はMarkeZine(マーケジン)様より許可を頂き転載したものです。掲載記事原文はこちらMarkeZine

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