近年、オンラインにおけるプライバシー保護への関心の高まりからWebブラウザの閲覧履歴などを保存する「Cookie」の利用を制限する動きが本格化しつつあります。たとえば、 EUで施行されたGDPR(一般データ保護規則)をはじめ、WebブラウザにおけるサードパーティーCookieの利用制限など、アドテクノロジー業界におけるデータ活用に大きな変化が起きています。
アドエビスが実施したアンケート調査では、マーケティング活動を行うなかでCookieの利用制限の影響を感じているマーケターも多く、その対策に関心が高まっています。

そもそも「Cookie(クッキー)」ってなに?

Cookie (クッキー)とは、「Safari」や「Chrome」といったWebブラウザに、訪問したWebサイトにおける行動ログや入力したユーザー情報を一時的に保管しておく仕組みのことです。具体的には、会員登録したサイトのログイン情報やカートに入れた商品のデータ保存、そのほか広告配信などにもCookieの技術が活用されています。

Cookieは大きく2種類に分かれます。

  • ファーストパーティーCookie(1st Party Cookie)

    アクセス先のWebサイトと同じドメインから発行されるCookie。ユーザーが訪れたWebサイト(自社サイト)での用途に活用される。
    ECサイトのログイン状態を維持したりショッピングカート内の商品情報を保持する。

  • サードパーティーCookie(3rd Party Cookie)

    アクセス先のWebサイト以外のドメインから発行されるCookie。ユーザーが訪れたサイトではない別のサイト(他社サイト)での用途に活用される。
    サイトの枠を超え、これまでのユーザーの閲覧傾向に近い商品の広告が表示される。

Cookieの規制の対象範囲は?

すでにWebブラウザ「Safari」を提供する Apple社が、iOS内でのトラッキング(追跡)を防止する「ITP(Intelligent Tracking Prevention)」 機能を提供しており、サードパーティーCookieの利用に制限を設けています。同じく Webブラウザ「Chrome」を提供するGoogle社も、サードパーティーCookieのサポートを2023年末目途に廃止すると発表しています。これによって、広告配信企業にとっては『サードパーティーCookieに頼らないデータ取得手法』の実施が急務となります。

Cookie利用制限
企業 ブラウザ サードパーティーCookie ファーストパーティーCookie
Apple Safari
(ITP機能)
利用不可 JavaScript発行: Cookie有効期限7日
(トラッカーからの流入+パラメータあり+
直帰の場合はCookie有効期限1日)
Webサーバー発行:制限なし
(CNAMEの場合はCookie有効期限7日)
Google Chrome 段階的に制限
2023年末に利用不可
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マーケティング担当者が注意するべきことは?

デジタルマーケティングにおいて、サードパーティーCookieの利用制限は様々な影響を及ぼします。特にWeb広告に与える影響は大きく、リターゲティング広告のようなサードパーティーCookieを活用した配信手法は難しくなってきています。また、各広告配信プラットフォームの管理画面上で正確なコンバージョン数が計測できない可能性が高まり、配信した広告の費用対効果の把握も困難になっていくでしょう。

しかし、Webサーバーより発行されるファーストパーティーCookieについては、引き続き今後も活用が可能です。 『サードパーティーCookieに頼らないデータ取得手法』として、ファーストパーティーCookieを活用した第三者の計測ツールを用いてデータ計測を行うことが欠かせません。
アドエビスでは、Webサーバー発行のファーストパーティーCookieを活用し、ITPの制限内でデータ計測を行っているため、より安心・安全な広告効果測定をご支援してまいります。